なないろの虹(BTS空想小説別館)

オルペン&アミペンなARMYです。空想小説を書かせてもらっています。

Lights

Lights:10

私はその日、ヨナと仲直りしようと決心していた。 誕生日でもないのにケーキを買って、ヨナの好きな料理を作って、ヨナの帰りを待つ。 ご機嫌取り、あからさま過ぎたかな? 「ただいま」 「おかえりっ!」 私は飛びっきりの笑顔でヨナを迎えた。 ムスッとし…

Lights:9

「もう少し、可愛いフレームがいいんじゃないですか?」 「いりません、必要ないです。……ありがとうございました。」 私は彼の言葉を遮るように、逃げ出すように、帰ろうとして、足を止めた。 メガネ代。 仮を作るようで嫌だった。 だから、振り返ってまた彼…

Lights:8

「……それじゃぁ、私はこれで」 「あの、メガネなくて大丈夫ですか?」 歩き出そうとしたところで、その人が声をかけてきた。 「……あれは左目のためだけのものなので、右目は見えますから。途中で友人にでも迎えに来て貰います」 「この先にメガネ屋さんがあ…

Lights:7

「……あの、この人が何か?」 私にぶつかり、大丈夫かと手を取った人が男に聞く。 「こ、この女っ!……金払ってやったのに、逃げようとしてっ!……」 そう、声を荒らげたが、ハッとして周りを見渡す。 何があったのかと人が集まり掛けていた。 私の手を掴んでい…

Lights:6

1度辞めていた、客取りを、ヨナが使っていたサイトのアカウントを取り、再開していた。 話を聞くだけだったり、 添い寝するだけ。 ベッドインは拒否設定していた。 相手は紳士的な父親世代が多かった。 意外と話をしたいと言う人は多い。 私と同じように、何…

Lights:5

「この連帯保証人のところ、いのりか伯母さんのサイン貰ってもいい?」 「私が書くよ」 私はペンを取ると言われた場所にサインをする。 その後、伯母は買い出しに行ってくると店番を私に任せて出て行った。 カウンター席に2人並ぶ。 ヨナはあと少しでお店に戻…

Lights:4

あの夜から、約束通り、私は客を取らなくなった。 取れなくなった。 綺麗じゃない自分を再認識してしまった。 失った光。 逃げ出した私。 わざと汚して、惨めにさせて、逃げ続けた自分。 ホープ。 また私のコーヒーが飲みたいといった。 あの言葉が頭のなか…

Lights:3

2人分のコーヒーを入れて、彼の前に差し出す。 「……どうも」 2人で1口コーヒーを飲む。 「「ハア」」 同時にため息のような声を出す。私は笑いの沸点が低い。 それだけで、涙が出るほど笑ってしまっている。 「そんなに可笑しいですか?」 「ごめん……なさい……でも…

Lights

1 私は私が嫌いだ。 こんな風になってしまった自分も。 こんな風にしてしまった自分も。 私はふたつの顔を持つ。 昼間は伯母の喫茶店を手伝う。 事故で片目の視力はほとんど失われてしまった。それまでやっていた水泳もやめた。 メダルなんてものも取った事…