なないろの虹(BTS空想小説別館)

オルペン&アミペンなARMYです。空想小説を書かせてもらっています。

Lights:3

f:id:mcbeel73:20231207225704j:image

 

2人分のコーヒーを入れて、彼の前に差し出す。


「……どうも」


2人で1口コーヒーを飲む。


「「ハア」」


同時にため息のような声を出す。私は笑いの沸点が低い。

それだけで、涙が出るほど笑ってしまっている。


「そんなに可笑しいですか?」


「ごめん……なさい……でも、おかしくて」


笑い続けている私を彼は真顔で見ている。

まるで見下すような冷たい眼差しだった。


私は、それでも笑っていた。


「はぁ、はぁ……」

やっと落ち着いた頃、彼はもうコーヒーを飲み終わっていた。

終わってしまっていた。


「…と、これ飲んだら帰りますから。お気になさらず」


彼は黙っている。


コーヒーを飲み終わると、私は2人のカップを片付ける。


「お付き合い頂きありがとうございました」

私は深々と頭を下げて、バッグを手に取った。


「コーヒー、美味しかったです。…因みにこれ、いくらだったんですか?」


何を聞いているんだろう、この人は。


「300円位のインスタントコーヒーですよ」


「……そうじゃなくて。……あなたに会う時の……」


「は?」


「へ?」


「……どうしてそんなこと?聞くの?」

次なんてない。

綺麗な世界の綺麗なアイドルに買われるほど、私は……


綺麗じゃない。


「また、あなたのコーヒーが飲みたい……そう思っただけです」


「だったら、これを置いて行きます。さようなら。」


私はコーヒーを置いて、その場を後にした。

 

見下すような目で見てたくせに。


何が、ホープよ。

何が、希望よ。


「ヨナ!ヨナ!いる!?」


むしゃくしゃしながら帰宅した。

ヨナと暮らすアパート。


「何っ!?あの客は!?」


「……いのり?……」


ベッドに横たわるヨナが見えた。

泣いていた?

何かあった。


「ヨナ?……どうしたの?」


「……また、振られちゃった」


ヨナが転換を望む理由。

愛する相手に受け入れられたいから。

どんな身体であろうと、受け入れてくれる相手は今まで1人もいなかった。


「ヨナ、おいで」

私はヨナを抱きしめた。私よりも体格のいいヨナ。

その体を小さくして、小刻みに震えて泣いている。

彼女は彼女だ。

なのに目に見えない部分を知った時、人はいとも簡単に裏切ってしまう。


悲しいよね。

辛いよね。

怖いよね。

逃げたくなるよね。


でも、私はそばにいるよ。

そばにいるから、気が済むまで泣いていいよ。✨