なないろの虹(BTS空想小説別館)

オルペン&アミペンなARMYです。空想小説を書かせてもらっています。

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私はその日、ヨナと仲直りしようと決心していた。


誕生日でもないのにケーキを買って、ヨナの好きな料理を作って、ヨナの帰りを待つ。


ご機嫌取り、あからさま過ぎたかな?


「ただいま」


「おかえりっ!」

私は飛びっきりの笑顔でヨナを迎えた。


ムスッとした顔で、自分の部屋に入ってしまったヨナ。着替えて出てくると直ぐにテーブルの上の料理に目を向ける。


「今日、なにかの記念日?」


「……違う。ヨナに謝る日。……少し頑張りすぎた……」


「それで?……何を謝るの?」


「……ヨナ。……ごめん。……本当にごめん。ごめんなさい。……ヨナが言うように、もっと自分を大切にする。……もう心配かけるようなことはしない」


「……よろしいっ!……次はないからね……。さっ!食べよっ!チキンは私のモノだからね!」


「プッ」


私は泣きながら笑った。

2人で笑いあった。


また少し、穴が塞がって行く気がした。

 


オッパがソウルに父と職場の同僚を連れ立ってやってきた。


観光案内してくれと、前日になって言われあたふたとしていると、ヨナも仕事を休んで手伝ってくれると言う。


「ヨナー、ありがとう!」


こういうことはヨナの方が向いている。


待ち合わせ場所に着くと、先に到着していた懐かしい後ろ姿を見つけた。


私とヨナは気付かれないように足音を殺して近づく。

私は父の、ヨナはオッパの膝の裏に自分たちの膝を合わせて着く。


「あぁ!」


2人は変な声をあげて前のめりになる。


私はまた、涙を流して笑った。


「ひ、久しぶり」

私は笑いながら、オッパと父に抱きついた。

 

「はーい、ランチはこちらデーす」


ヨナは添乗員並に、オッパ達を案内する。

片言ではあったけれど、日本語も喋って頑張っている。


「仲直りできたみたいだな?」


オッパは私に尋ねる。


「うん」


そういうとニコーっと笑って私の髪をわしゃわしゃと撫でる。


……その笑った顔が、大好きだった。


「パパっ!?」


ヨナは目を丸くした。


「おう。……俺ももう少しでパパになる!」


ランチを父とオッパ、ヨナと私と囲んでいる時に、オッパがパパになると言った。


財布の中から、エコー写真を1枚取り出して見せる。


「ここが、目でここが口……そして、これが鼻……」


エコー写真に写る赤ちゃんの顔を細かく説明してくれる。その顔からは幸せが溢れていた。


ヨナが私の左手にそっと自分の手を重ねる。

ヨナは私の顔は見ず、オッパの話をただ聞き続けている。


広がりかけていた穴をヨナの手が止めてくれた。