Lights:6
1度辞めていた、客取りを、ヨナが使っていたサイトのアカウントを取り、再開していた。
話を聞くだけだったり、
添い寝するだけ。
ベッドインは拒否設定していた。
相手は紳士的な父親世代が多かった。
意外と話をしたいと言う人は多い。
私と同じように、何かを埋めたいだけなのだろう。
家族の話、娘、息子とのこと。
奥さんやパートナーの事。
ほとんどごく平凡な相談だったり
ただ聞いて貰いたいだけだった。
ごくたまに、強引にホテルに連れ込もうとする客もいた。
上手く巻いて、逃げて帰ることもある。
ヨナが気づかないように、トイレなどで化粧を落として、カラコンも外して、黒縁メガネのワンレグに髪を結って帰る。
そんな日が何度かあった。
お金のためではない。
自分が埋められない穴を埋めたいだけ。
多分、ヨナは気づいている。
その日取った客も会った時には、もう既に出来上がった状態で、なにか管を巻いている。
明らかに目がヤバイ。
「ホテルに行くぞー!」
と大声で言い始めた。
私は介抱する様子で付いて行くが、ホテルの入口に来て、サッと逃げ出した。
あれだけ酔っていれば、簡単に巻けると思っていた。
近くのトイレに入って帰る準備を済ませた。
念の為、トイレから出る時に外を確認してから、素知らぬ顔で歩き出す。
ホテルの前に差し掛かったところで、血走った目の男に捕まった。
さっきの男だった。
「……お前、金だけ取って逃げる気か!?」
ものすごい力で両肩においた手に力を加える。
痛い
初めて怖いと思った。
「……来いっ!」
左手を取られて、ホテルに連れて行かれる。
大声を上げれば、誰かが助けてくれるかもしれない。
そうは思っても恐怖で声すら出ない。
男は受付でチェックインの手続きをしている。今のうちに、逃げよう。
そう思った時、男が振り返る。
私はすぐ様走り出した。
「おいっ!」
後ろから怒号が聞こえる。
早く逃げなきゃと焦る。左目はほとんど見えないけれど、暗闇の中、必死に走らなきゃと思った途端、左側から来た人にぶつかってしまった。見えていなかった。
その拍子で倒れ込む。
「大丈夫ですか?」
ぶつかった人が慌てて、私の手を取った。
「コノヤロウっ!……」
男は倒れ込む私をギラついた目で見下ろす。