なないろの虹(BTS空想小説別館)

オルペン&アミペンなARMYです。空想小説を書かせてもらっています。

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1度辞めていた、客取りを、ヨナが使っていたサイトのアカウントを取り、再開していた。


話を聞くだけだったり、

添い寝するだけ。


ベッドインは拒否設定していた。


相手は紳士的な父親世代が多かった。

意外と話をしたいと言う人は多い。


私と同じように、何かを埋めたいだけなのだろう。


家族の話、娘、息子とのこと。

奥さんやパートナーの事。

ほとんどごく平凡な相談だったり

ただ聞いて貰いたいだけだった。


ごくたまに、強引にホテルに連れ込もうとする客もいた。


上手く巻いて、逃げて帰ることもある。


ヨナが気づかないように、トイレなどで化粧を落として、カラコンも外して、黒縁メガネのワンレグに髪を結って帰る。


そんな日が何度かあった。


お金のためではない。

自分が埋められない穴を埋めたいだけ。


多分、ヨナは気づいている。

 

その日取った客も会った時には、もう既に出来上がった状態で、なにか管を巻いている。


明らかに目がヤバイ。


「ホテルに行くぞー!」

と大声で言い始めた。

私は介抱する様子で付いて行くが、ホテルの入口に来て、サッと逃げ出した。


あれだけ酔っていれば、簡単に巻けると思っていた。


近くのトイレに入って帰る準備を済ませた。


念の為、トイレから出る時に外を確認してから、素知らぬ顔で歩き出す。


ホテルの前に差し掛かったところで、血走った目の男に捕まった。

さっきの男だった。


「……お前、金だけ取って逃げる気か!?」


ものすごい力で両肩においた手に力を加える。


痛い


初めて怖いと思った。


「……来いっ!」


左手を取られて、ホテルに連れて行かれる。


大声を上げれば、誰かが助けてくれるかもしれない。

そうは思っても恐怖で声すら出ない。


男は受付でチェックインの手続きをしている。今のうちに、逃げよう。


そう思った時、男が振り返る。


私はすぐ様走り出した。


「おいっ!」


後ろから怒号が聞こえる。


早く逃げなきゃと焦る。左目はほとんど見えないけれど、暗闇の中、必死に走らなきゃと思った途端、左側から来た人にぶつかってしまった。見えていなかった。


その拍子で倒れ込む。


「大丈夫ですか?」


ぶつかった人が慌てて、私の手を取った。


「コノヤロウっ!……」


男は倒れ込む私をギラついた目で見下ろす。