なないろの虹(BTS空想小説別館)

オルペン&アミペンなARMYです。空想小説を書かせてもらっています。

Lights:2


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「綺麗よ、いのり。」

 

私の名前、いのり。母は韓国人。日本人の父と再婚する時、私は既にお腹の中にいた。

日本人の父には息子がいた。

5歳年上のオッパ。

私には血の繋がらない兄が出来た。

 

「…いのり、今日で最後にしよう?」

 

「…大丈夫、今日で辞めるよ。」

 

親友のヨナ。女性になりたいと望むヨナ。もう充分女性なのに、どうしても転換の手術をしたいと言う。

私は親友を安心させるように、嘘を付いた。

 

ヨナからメモを受け取る。

いつものホテル。

 

私はいつものようにカラコンを入れ、ワンピースを来て、化粧をヨナにしてもらう。

 

そして、もう1人の自分を起動させる。




大概、ホテルの部屋には私が先にスタンバっている。

 

そこへ、客はやってくる。

 

今日の客は何を望むのだろうか…

緊張する。こればかりは慣れない。

 

ガチャっ。

 

ドアが開く音がする。

 

私はベッドに座って、客を待つ。

 

現れたのは、若い男性だった。

 

「うわぁっ!……誰?」

 

どこかで見た事があるようなないような男。

私に気づいて、驚いている。

 

「…えっと…何をしましょうか?」

 

男はキョトンとしている。明らかに目が泳いでいる。怖がっているようにも見える。

 

最後の客かもしれない相手がこれ?

 

やっぱり、ヨナに言ったことは嘘になりそう。

 

私はため息を着いた。

 

「あの?…僕、部屋間違えたかも知れません」

 

そう言って、そそくさと出ていった。

 

どこかで見たことがあるような顔。

誰だったかな…?

 

 

帰って来ない客。

 

どうしようかとヨナに電話しようとしたところで、またドアの開ける音。

 

…さっきの男だった。

 

「…すみません、ここ、僕の部屋みたいなんですけど?」

 

「知ってますよ?」

ニコッと笑ってそう答えて見た。

 

「……何か、手違いがあったみたいで。それで、その…」

思い出した。

 

最近人気のアイドルグループの1人だ。

 

「…要は、ご機嫌を取るつもりで、私を買われた人がいるみたいですね。あなたに内緒で…」

 

「……すみません」

 

あなたが謝ることじゃないのに。

 

「……すみません、お金は払います。…ですが、これで」

 

「前払いなんです。……大体ご機嫌取りなら、あなたに支払いをさせるわけがないでしょう?」

 

「……確かに……」

 

純粋なのか、鈍感なのか。

 

少し飲んでいたのか、顔は真っ赤になっている。

 

私は帰ろうかとも思ったけれど、何故かバッグに手を伸ばして、持っていたインスタントコーヒーを取り出した。

 

「飲みますか?…酔い覚ましに」

 

「え?」

 

私の提案に驚いている。

きっと帰ると思っていたんだろうな。

 

「…誰にも言いませんよ、コーヒーを1杯飲んだら帰りますから、……Jhopeさん?」

 

名前を言われて、顔色が変わった。

からかったつもりはないけれど、少し楽しんでいる自分がいた。