いつか、私はいなくなるから……
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「悪性腫瘍?」
「そう、悪性……
……それも結構ステージも進んでる。」
「……つまりは?」
「……今夜、シオンと一緒に話そう?
今後の治療方針。」
「オッパに言うの?
……私、死ぬかもしれないって?
……無理だよ。そんなこと言ったら、オッパ……」
目の前の女医さんは、オンニでもあった。
もうすぐ、オッパと籍を入れる。
ふっくらとしてきたお腹。
2人の幸せを、私の病気で台無しになんてしたくない。
「……黙っているなんて、私にはできないよ。
セヒョンちゃん。」
「……」
「……今夜あけておいてね。
セヒョンちゃん、逃げないでね。お願いだから……」
心配そうな目。
悲しそうな。
数ヶ月前から感じていた体調不良。
胸に感じた違和感。
指が触れるとしこりがあった。
すぐに消えるだろうと、そう思って気にしない振りをしていた。
だけど数日前、たまたまバックハグしてきたオンニの指にそれが触れて、半ば引きずられながら、病院の検査を受けた。
……そして、このザマである。
「……ハア。」
お腹を擦りながら、大きなため息を着くオンニ。
オッパにどう話そうか、どう切り出そうか、きっとそんなふうに考えているに違いなかった。
もうすぐ結婚することに浮かれているオッパに、爆弾を投下するようなものだ。
「……それで?
私、あとどれくらい生きられるの?」